摂食障害リアル克服体験談

今現在摂食障害で苦しんでいる方に向けて、克服者がどのように治っていったのか、そして今どのように生きているのか、たくさんの事例を紹介します。

5.ダンサーとしてのストイックなスタイル維持から摂食障害に(Yurie)

 

Yurie(27)

モダンバレエ講師・ヨガインストラクター

 

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プロフィール

鎌倉生まれ
5歳でモダンバレエに出会い
高校・大学時代はチアダンスチームに所属。
全米・全国大会優勝。イベント・TV出演。
現役時代の無理なダイエットで、心身のバランスを崩したのをきっかけにYogaに出会う。
自身の体験をシェアしながら自分で自分を癒し、毎日愛情や幸せを感じられるようになるきっかけづくりをしている。

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克服前

症状

拒食、非嘔吐過食、鬱傾向

 

 

ダイジェスト

期間

状態

19歳~20歳前半 (約1年4ヶ月)

拒食

20歳後半~23歳前半

(約3年2ヶ月)

非嘔吐過食(たまに拒食)

23歳後半~24歳

(約半年)

食べ過ぎレベル(すごい過食はなし)

 

人生曲線

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原因、きっかけ

ダンサーとしてのスタイル維持をストイックに行った結果。

異常な我慢をできる性格だった。

芯の強い性格だった。

 

家庭環境

幼少期に父が事故で亡くなる。

母が再婚し新しい父ができ、恵まれた環境で愛されて育つ。

自分がしっかりしなくてはと思うところがあった。

 

学校環境

舞踊科のある大学に入り、踊りのことばかり考えていた。

学外でチアダンストップレベルのチームに入り日々練習に励んでいた。

 

性格

完璧主義・0か100と考えやすかった・心配症・真面目・自分に厳しい・我慢しやすい

休むことへの恐怖心・自分を律することが得意だった

 

ダイエット

高校卒業後 はじめる。主にレコーディングダイエットをしていた。

スタイル維持が大切と強く思い、激しい運動量に見合わない食事量でどんどん体重が落ちる。

コーチや親・友人にもっと食べたほうがいいといわれても恐怖心で食事をとれなくなっていた。

どんどん体力も筋力も落ち踊れなくなっていき、自分には何もないと無力感に襲われるようになる。

 

克服中

完治までのプロセス

拒食(約1年4ヶ月)→非嘔吐過食(約3年2ヶ月)→食べ過ぎレベル(約半年)→完治

 

各ステージでの「食」、「運動」、「生活」、「体」、「メンタル」の大体の状態

19歳~20歳前半(約1年4ヶ月)

拒食(Min 156cm 38kg 体脂肪率16%)

夜ご飯を減らす、炭水化物を減らす、肉をやめて魚中心、17時以降は食べない、を徹底。17時以降にお腹が空いて辛いこともあったが、意地でも絶対に食べなかった。

(大学で激しい運動をしていたため、どんどん痩せる)

運動

毎日、大学の授業でダンス(舞踊科だったため)、放課後はチアの練習。

土日もレッスンがあり、体作りのためにピラティスもしていた。

強迫観念からではなく、楽しんで運動していた。

生活

朝5時起床、朝ごはんを食べ、7時に家を出る。

16時くらいまで大学。

17時までに夕飯を食べ、19時半から22時過ぎまでチアの練習。

終電近くで帰る。

 

たまに遊ぶこともあったが、基本はダンス、チアの練習の毎日。

痩せて、筋肉も落ち、骨が浮き出る。

常に寒い。冷え性

体力がなくなる。

メンタル

頑固。

何事においても、決まり事は守らなければいけないという意識が強い。

(食事ルール、チアのコーチに注意されたことなど。几帳面に全てノートに書いていた。)

 

自分にとっては踊りが全てであり、上手く踊れないことに対してすごく落ち込む。練習するしかない、と自分を追い込む。

チアのことに関し、常にプレッシャーを感じていた。

(チームでちゃんとやらなきゃ、悪いとこは全て治さなきゃ、社会人が多いチームだったこともあり、もっと頑張らなきゃ。)

 

 

20歳後半~23歳前半(約3年2ヶ月)

非嘔吐過食(Max 156cm 61kg 体脂肪率38%) 

最初は、マクロビオティック食なら食べても大丈夫だと信じ、

マクロビのスイーツやパン、さつまいもを過食。

マクロビのカフェを何軒もはしごし、過食。

普通の家のご飯は食べず、簡単にすぐに食べられるものを食べる。

 

徐々にエスカレートし、ほぼ毎日、1日中食べていることも増える。

炭水化物、スイーツなどを中心に過食。(クッキーなど、空けたら1袋全て食べる)

お店で定食食べたのに、その後また別のお店で食べる。

肉や魚はほとんど食べていなかった。油、揚げ物は食べる。

 

過食した翌日は食事を抜くことも。

運動

踊りからは少し離れ、週1やるかやらないかくらい。

(自分が太っている姿を晒したくなかったため、踊りたくない。)

 

ヨガ

(大学の友人が誘ってくれた。踊りじゃないことがやりたかった。)

生活

規則正しくはなかった。

学校は休まず行っていた。

ヨガインストラクター資格勉強

バイトは出版社でインターン。(夜遅くまで、仕事量は多くて、忙しかった)

食に関して勉強したい、マクロビを広めたいという思いで、食育団体Mealinkの活動をしており、そのことで出かける必要がある時以外は出かけない。(外に出ても過食してしまう。)

1日中体がだるい。顔が浮腫む。お腹が張って固い。胃痛。息が浅い。体が凝り固まる。力が抜けない。頭痛。肌荒れ。口内炎。血流が悪い。疲れやすい。体力がなく、日常生活も辛い。起きるのが辛い。

メンタル

過食して落ちこむ毎日。よく泣く。自己嫌悪。不安感。自分には何もない。周りから怠けていると思われる。この体型で誰にも会いたくない。無気力感。生きている意味がない。人生に希望が持てない。死にたい。鬱状態

 

23歳後半~24歳(約半年)

食べ過ぎレベル(156cm 56kg 体脂肪率37%)

こだわりはゆるみ いろんなものを食べられるようになっていた。

運動

ヨガ・バレエを体力に合わせて

生活

週2回バレエの教えに行ったり、ヨガスタジオに通ったりしていた。

モダンバレエ師範を取得。

料理教室に通ったり、友人と遊んだり、楽しんで毎日を過ごせるようになってきていた。

むくみやすい 疲れが出やすい 体力がなく連日の外出はきつく感じていた めまい だるさ 怪我しやすい

メンタル

前向きなことが多くなっていた まだ自分の体型にコンプレックスがあり自信が持てずにいた 思い通りに動けないカラダに焦りを感じていた 

体調が悪いと落ち込む

 

克服に一番有効だったこと

1.治したいという強い思いから少しずつ行動したこと

良いと思う病院を調べ行ってみる。計3つの病院に行った。

・青山自然医療クリニック(冷えとりの川嶋先生)

・和楽会赤坂クリニック(貝谷先生、カウンセラーの石井さん)

・東洋堂医院(煎じ漢方、松本知子先生)

規則正しい生活を心がける

今の自分にできる小さなことをやり達成感を感じる

休むことを許す

 

2.同じ悩みを持つ人たちとの出会い

ミクシィで出会った仲間と食育団体Mealinkの活動をはじめる。

活動する中で今の自分にできることを見つけていった。

自分には踊りだけではないと思えた。

悩みの共有。

 

3.頑張りすぎることをやめること

自分を追い詰める癖を少しずつ直していった

1日1つできればOK

0か100ではなく80%を目指すように考え方を変えた。

 

4.「○○してはいけない」を減らしていく

食事のルール、生活のルールを少しずつ緩めていった。

 

5.ダメな自分を受け入れ、自分を許すこと

何もできなくなった自分が嫌で嫌で、消えてしまいたいと思うことが多かったのですが、今まであんなに頑張ったのだからカラダやココロが本当に疲れているのだ!と今のありのままの自分を認め、許し、休養をとることがなにより大切だと考えられるようになりました。

はじめは体調が悪くなり、予定していたことができなかったり、仕事を休む自分が本当に許せなくて、休んでいても本当の意味での休養になっていませんでした。

「自分を責めるのをやめていくこと」は私にとって大きな課題でした。

 

6.ヨガとの出会い

踊れなくなりすぐに出会ったのがヨガでした。

ヨガもはじめはストイックに取り組んでしまい、かえって自分を追い込むことになりましたが、1年ほど距離をおきポーズの完成が目的ではなく、「健やかなカラダとココロをつくること」を目的にするようになってからヨガの教えは私の生きる知恵となりました。

 ・人と比べない

・頑張ることと委ねることのバランスをとる

・今ある自分を観察し必要なポーズや行いを選んでいく

(カラダが疲れている時はハードな練習をしなくなりました。)

 

*参考本

『幸せとつながる言葉』里江子(リー)著

 

6.マインドフルネスとの出会い

マインドフルネスはあらゆる判断を手放し「今この瞬間」に意識的に注意を向けることです。

ココロはとても自由で過去や未来にワープしては、期待や不安を生み出します。

今に集中する練習をすることでココロが安らかになっていくのが感じられました。

 

「マインドフルネス瞑想」

目をつぶりカラダに負担がないように座る。

吸っている息に気づいて

吐いている息に気づいて と繰り返し自分の呼吸やカラダの部位1つ1つに意識をむけていきます。

 

*参考本

『図解マインドフルネス』ケンヴェルニ著

 

克服の転機となった出来事

母の存在

私がやりたいということを必ずサポートしてくれました。

私が泣きながら話すのにいつでも付き合ってくれました。

 

親友・親友の母の存在

大学卒業後、実家を離れ、親友の家で暮らしていた時期がありました。

その間、私の様子をみながらその時の私にできることを役割として与えてくれて、日々の達成感・自分の存在意義をつくってくれました。

 

友人たち

いつも優しいメッセージをくれ、励ましてくれたり、食事がうまくとれない私に優しく付き合ってくれていました。

 

お世話になった先生

摂食障害のことを相談にのってもらいました。

とにかく褒めてくれて、何食べてもその分運動すれば大丈夫!気楽にいこう!

と励ましてくれたり、いろんな場所に連れて行ってくれたりしました。

自己肯定感を持てるようになったきっかけです。

また、それまで肉や魚が怖くて食べられなかったのですが、食べても大丈夫と思えるようになり、そこから色々なものを食べられるようになりました。

 

バレエ教室の先輩・生徒たち

体力が戻ってきた頃学生の頃からやらせていただいていた

バレエ教室の手伝いを再開しました。

こんな自分でも役立てることがあると実感できました。

こどもたちがココロから踊ることを楽しんいる姿から元気をもらいました。

 

本当に沢山の方に支えられました。

感謝しかありません。

 

 

克服中に試したこと

自分に合ったことも合わなかったこともあった。

 

・楽しむことを自分に許す

・規則正しい生活

・料理教室に通う

・漢方

接骨院

鍼灸

・おしゃれをする

・本をたくさん読む

 

克服後

現在の生活

(156cm 53kg 体脂肪率21.3%)

1日2食から3食

 

できるだけナチュラルなものを選ぶが、厳しい制限はなし。

お腹が空いたら食べる(カラダの声が基準)

空いていないときは食べない。

 

好きなものを食べるが基本です!

運動

ほぼ毎日。仕事や自己トレーニング。

月経中や疲れがたまっているときは意識的に休みます。

生活

仕事柄不規則      

できるだけ夜は家にいてRelaxできるように心がけている。

ヨガやバレエ、最近通ったロルフィングのおかげで今は1番動きやすく、快適なカラダになっている。

現役の頃のように動ける体力はない

メンテナンスしないと体調が崩れる

メンタル

楽観的になってきた。

おだやか。                         

まだ自分に厳しくなるときがある。

焦りを感じる時がある

 

ダイエット

健康な心身のために食事や運動に気を付けてはいるが、厳しい制限はしていません。

身体の不調和をなくしていくためにヨガを続けています。

決してストイックにやるのではなく、自分のカラダとココロの声を聴きながら行います。

 

人生の捉え方

病気の後遺症で人並に活動する体力がなく、自分を責めることも多いですが、今の自分を受け入れて、今の自分にできることを積み重ねることを意識しています。

 

現在のお仕事について

モダンバレエの講師を中心に

チアダンス・ヨガインストラクター・ウェアモデルとして活動中。

 

 

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まとめ

「治った」の定義

食事を楽しめるようになること

自分にやさしくなれること

 

振り返ってみて

摂食障害はとても辛い出来事でしたが、

この経験があったからこそ気づけたことが本当に沢山あります。

 

自分に優しくなるために与えられた試練だったと思います。

 

自分の心身を大切にすること

  • 大きな結果を残したところに幸せはなく、また次へと欲が増していくばかりであるということ
  • 結果がすべてではなく、プロセスの中で得るものが大切ということ
  • 頑張ること・休むことなど両極にあるもののバランスをとっていく大切さ
  • 今ある幸せにきづく大切さ
  • 真実を受け入れる勇気を持ち、そこからどう行動していくか考える力
  • 自分を許すこと
  • あたりまえのことがありがたいということに気づいたこと
  • 周りに支えられていること

 

今与えられていることに感謝し、自分のできることを積み重ねていくといろんな道が見えてきます。あのころ真っ暗にしか思えなかった人生の道が今ではキラキラしているように感じられるようになりました。

 

自分のココロの声を聴くこと、自分を知ることがとても大切だと思っています。

 

無理をし続ける人生はつらいものです。

自分に合った道を見つけていきたいなと私も思っています。

 

メッセージ

今自分と向き合っている人へ

 

まずは自分を抱きしめてあげてほしいと思います。

辛く悲しい気持ちも否定せず、「今私は悲しいんだな。辛いんだな。」と自分の気持ちを受け止めてあげて下さい。

そして大切な人に語りかけるように優しい言葉を贈ってあげてほしいです。

 

自分で自分をコントロールできない状況は本当につらいと思います。

自分はなんてダメな人間なのだろう、と私も毎日のように自分を責めては生きている意味を見いだせなくて真っ暗闇にいるみたいでした。

元気になっている自分を想像するのも難しく、みんなからどんどんおいていかれるような気分にもなりました。

 

でも、絶対に直すという気持ちだけはいつもココロのどこかで強く持ち続けていました。

あきらめないでほしいです。

私もとっても時間がかかり、何度もいつになったら楽になれるの?と思いました。

 

でもゆっくりで大丈夫と自分に言い聞かせながら、進んではちょっと戻りを繰り返して

自分の中のバランスをとってきました。

 

完治まで行動しては頑張りすぎて、原因不明の怪我で歩けなくなるなど

カラダが悲鳴をあげることも多く、どれだけ自分を酷使してきたを思い知らされました。

 

カラダやココロの不調は、私たちへのサインだと思います。

 

自分のカラダの癖、考え方の癖を直すとても良い機会でした。

 

あきらめずに自分のわくわくに従って小さな行動を積み重ねてみてほしいです。

 

時にゆっくり休み自分を癒す時間も大切。

時に勇気をもって行動してみることも大切。

時に周りに勇気をもって助けを求めるのも大切。

行動すると新しい景色が見えてきます。

自分の可能性に気づくときがやってくると思います。

 

自分に優しく、自分を許してあげてほしいです。

 

自分を信じて大切にしてあげてほしいと思います。

私も毎日練習中です。

 

みなさまの心がおだやかであたたかい気持ちになる時間が増えることを祈っています。

 

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