摂食障害リアル克服体験談

今現在摂食障害で苦しんでいる方に向けて、克服者がどのように治っていったのか、そして今どのように生きているのか、たくさんの事例を紹介します。

8.15年に渡る摂食障害を乗り越え、今は完全に無敵です(tokco)

 

tokco(35)

獣医師・メディカルイラストレータ

 

プロフィール

小学生のとき美術大学へ進む夢を見るが、カーデザイナーの父にアートの世界の厳しさを知らされ一旦保留。動物好きを活かし獣医学科へ進み、生き物のからだのしくみを学びながら、いつかアートの仕事と融合させたいと考える。現在日本で獣医師国家資格を持ちサイエンス/メディアカルアーティストとして活動しているのは唯一であり、特に解剖学を得意とする。

 

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克服前 

症状

拒食、過食嘔吐

 

ダイジェスト

期間

状態

高1~高3 (3年間)

拒食、普通食嘔吐

浪人生 (1年間)

過食嘔吐

大学生 (獣医学部のため6年間)

拒食、過食嘔吐

卒業後 (5年間)

拒食と過食嘔吐の繰り返し(改善へ)

 

人生曲線

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原因、きっかけ

高校入学と同時に始めたダイエット。それまでは、兄がいたことから男らしく育ち、また、剣道をしていたこともあり、おしゃれと無縁だったが、高校に入っておしゃれしたいという気持ちが芽生え、ダイエットを始めた。

 

家庭環境

四世代で住む。(曾祖母、祖父、両親、子供)

仲の良い家族。両親は心配症で、厳しい(門限、勉強)。

勉強するのが当たり前、ファッションに関しても厳しい。

 

【母】

躾としての厳しさはあったが、仲の良い親子。

自分が人にあまり頼らない性格だったのと、母が曾祖母、祖母の面倒を見なきゃいけないとのことがあって、何でも相談できる時間は無かった。

 

【父】

平日は仕事で夜が遅く、朝だけ顔を見ることが多かった。

べたべたではないけど、普通に仲が良い。

 

【兄】

すごく仲が良い。高校生の時は一緒に買い物に行ったり、遊びに行ったりしていた。

兄は厳しい両親に対し反抗期があったが、自分はお母さんが傷付く、かわいそう、という意識のほうが強く、反抗的な態度は取れなかった。

 

学校環境

高校は進学校の理数特進クラスで、周りは勉強できる人が多かった。数学の朝練などもあった。上手く手を抜きながらやっていた。

グループにはあまり所属せず、1人か2人で行動していた。

 

性格

男に負けたくない(小さい時から手に職つけろと言われていた)、男勝り、負けず嫌い、完璧主義、極度に我慢強い、自分に厳しい

 

ダイエット

高校に入って、おしゃれしたいという気持ちでダイエットを始めた。

世の中的にも一食これだけとか、食べないダイエットが流行していたため、運動はそんなにせず、人におかしく思われない程度にできるだけ食べないようにした。

本で食品のカロリーを調べ、カロリーの上限は最初800~1200kcalにしていた。

家族と住んでいたため、ダイエットを隠しきれず、次第に毎食後に嘔吐するようになる。

 

その他

誤った女性の評価基準にとらわれてしまった

高校生の女性グループでは、細いということが評価されていると思い込む。

同性からも異性からも細くて綺麗と言われる人を見て、いいないいなと思っていた。

 

克服中

完治までのプロセス

拒食、普通食嘔吐(3年)→過食嘔吐(1年)→拒食、過食嘔吐(6年)→拒食、過食嘔吐(改善へ)(5年)→完治

 

高1~高3(3年)

拒食、普通食嘔吐(153~4cm 52kg前後、Min45kg)

【高1~2】

朝:食べない

(わざと準備をゆっくりして、ご飯食べる時間がない演技をする)

昼:ほぼ食べない

(子供用の弁当を少しかもしくは学食で食べたふりをする)

夜:食べないか食べて吐く

(塾で夕飯を食べたと嘘をつく、普通に家にいる時は食べて吐く)

 

修学旅行などで一口でもお菓子を食べてしまったときは、隠れてトイレで吐いた。

【高3】

朝;食べないか食べて吐く

昼:食べて吐く

夜:食べて吐く

運動

水泳部だったが、あまり行かず

生活

基本は規則正しい。

学校と塾の往復で、勉強の毎日。

(周りの影響で、勉強するのは当たり前だと思っていたので、特に勉強に対して強迫観念はなかった。また、中学まではトップじゃないと、と思っていたが、高校ではトップへの執着はなかった。)

食べていないのになかなか体重は減らず。

朝起きるのが辛い。眠い。体力がない。しんどい。フラフラする。頭痛。

メンタル

最初は病気と思っていなかった。食べてないことも吐いていることもそこまで深刻に考えていなかった。毎日の体重何gかの差が嬉しい。

元気で明るい。受験のストレスは普通にあったが、基本は元気。

しんどい時も、周りに見せたくなかったので、無理に元気に見せていたところもある。

親戚からの太ったという言葉など、人からの言葉が気になる。

 

浪人(1年)

過食嘔吐(153~4cm 54kg前後)

朝昼夜とも普通のご飯はほぼ食べない

ばーっと食べて吐くというよりも、ちょっとしたものを食べて吐く

浪人後半になるにつれ、吐く回数が増えていった

運動

なし

生活

規則正しい。1人で行動する。

朝起きられないとかはそこまでなく、一応起きて、元気なふりをして予備校に行き、勉強する毎日。毎日の嘔吐で次第に体力がなくなり、家で勉強する。1日のうち吐いている時間の方が長い。

体力がない。しんどい。ふらふら。頭痛。手の吐きダコ。不整脈。低血圧。

メンタル

鬱状態。精神的な疲れ。これってもう抜け出せないのかもと思う。自分でコントロールがきかない。

本当は鬱状態なものの、周りには元気に見せる。

 

大学生(6年間)

拒食と過食嘔吐(155cm 51~54kg)

入学当初は、自由にダイエットができるぞ、自分で食事の管理をすれば吐くのが収まるはずと思っていた。

 

普通の食事は食べず、拒食と過食嘔吐のみ。波があり、拒食しては過食嘔吐を繰り返す。

 

【拒食の時】

朝、昼、夜食べない。

1日数100キロカロリーだと満足、達成感。

 

過食嘔吐の時】

1日4回(朝、昼、夜、夜中)過食嘔吐

衝動的に起こる。

普段ダメだと思っているもの(甘いもの、パン、揚げ物など)を、コンビニやスーパーで買い込み、食べては、吐く。

運動

運動したら治るんじゃないかと考え、ジムやテニスをする。

しかし北海道に住んでいたため、冬は大雪で車移動なので、運動断念。

生活

一番酷い。生活リズムなんてなかった。頑張ってもどうしようもなかった。

 

家にいると過食嘔吐してしまうので、よく夜な夜なドライブに出かけていた。その結果疲れて、朝は起きられず、授業もよく欠席していた。さらに、お昼をみんなと食べたくなかったため、昼休みは家に戻っていた。午後の授業はよく遅刻していた。授業に出ても、頭痛と眠気でよく寝ていた。

そのため、周りからの冷たい目線を感じており、欠席分のプリントや試験の情報が欲しいとも言えなかった。

 

また、テスト期間は、家にいると過食嘔吐してしまうので、ファミレスでご飯は食べず、カロリーゼロの飲み物だけを飲みながら勉強。しかし、帰宅後、夜中の2時3時に結局過食嘔吐してしまう。そこから眠眠打破を飲んで朝まで勉強し、再履などもして、なんとか単位を取っていた。

 

バンドに興味ある人が集まるクラブに参加していた。活動自体は楽しかったものの、食べる場面を避けていたため、飲み会は徹底的に避けていた。また、あえて大学から離れて住み、友人同士の集まる鍋パなども徹底期に避けていた。

 

友達との卒業旅行も申し込んだものの、やはり、人とずっと一緒に同じものを食べることが怖くなり、直前でキャンセルした。

吐きすぎて浮腫む。頭痛。常に眠い。きついけどなんとかふらふらで生きている。手の吐きダコ。不整脈。低血圧。

メンタル

食べてはいけないという強迫観念が強い。普通にしないといけないのに、できない。鬱状態。うつうつ。底辺の気持ち。体重が数gでも増えると人に会えない。

自分が弱い、意志が弱い、自分のせいと考え、常に自分を責める。

なんとか治したいのに治らない。大学3年の時は特に病的で、体が悪くなって入院すればもしかしたら治るんじゃないかと考え、洗剤を飲んだことも。

自分の力、努力でどうしようもない。頑張ってもクリアできない。初めて人の力がないとどうしようもない。悔しい。

 

 

卒業後(5年間)

拒食、過食嘔吐(改善へ)(155cm 48kg)

だんだんちゃんと食べるようになる。

朝:軽く食べる

昼:コンビニで野菜ジュースとヨーグルトと小さいおにぎりやパン1個

夜:早く帰れる日は行きたいカフェに1時間以上歩いて行き、食べてみたいものを食べる。(母も付き合ってくれた)その後、歩いて帰る。

 

 

ハードな仕事だったが、よく体がもっていたという量の食事だった。

お昼は人からあんまり食べてないと言われないか気になっていたが、区切られたデスクだったため、あまり分からなかった。また、忙しい仕事だったため、特に気にされなかった。

 

過食嘔吐は少なくなっていき、しても普通食嘔吐になる。

その後、数ヶ月に何回かストレスがかかった時にやってしまうくらいで、どんどん少なくなっていた。

運動

ウォーキング。過剰運動。食べたら動かないといけないという強迫観念。

生活

規則正しい生活、

会社の人も環境も良く、安定していた。

浮腫みがなくなってきた。食べても体重が増えなくなってきた。

メンタル

健康に向かっている。治りたい気持ちがある。食べるのは怖いけど楽しい。鬱状態にならない。なるべく吐かないよう意識。体重を落としたい気持ちはある。

 

克服に一番有効だったこと

1.強制的な環境の変化

卒業後、研究系の会社に就職。会社の環境、仕事内容が自分に合っていて良かった。また、会社の人も、病気のことは言っていなかったものの、仲間としてとても良い人が多かった。また、社会人になって時間の制約ができたことも良かった。

さらに、就職を機に一人暮らしから実家に戻り、家族の支えの中で生活できたことも良かった。

 

2. 人に理解してもらって、助けてもらう

【家族】

母はウォーキングにも付き合ってくれ、父、兄もなんとなく見守ってくれていた。

 

【教授】

大学5年生の時、研究室の教授に自分の状態を言うことができた。実験の難易度を配慮してくれたり、就職先を紹介してくれたりとサポートしてくれた。

 

【友達】

いつも代返やプリントをとっておいてくれた唯一仲の良い友達から、真面目に起きて授業出た方がいいよと言われたことがショックで、そこでカンミングアウトした。その後もなにかと助けてくれた。

 

【恋人】

全ては言っていなかったが、自分の状態を話していた。

 

3.「食べる」=「嬉しい、楽しいこと」と印象付ける

行きたいところ、食べたいものを決め、どんなに遠くても(九州や淡路島など)、歩きや車で行った。母も付き添ってくれ、最初は食べることが怖くても、半分ずつなら食べることができた。

だんだん、「食べる」=「恐怖」だったのが、「嬉しい、楽しいこと」になっていき、普通に食べたり、食べても吐かないでいられるようになっていた。

 

4.歩く

食べて吐くなら、食べて歩こうと決め、たくさん歩いた。母も付き合ってくれた。強迫観念から歩いているときもあったが、吐くのを少なくしていくことができた。

 

克服の転機となった出来事、重要だったこと

1.病院へ行った

大学在学中、なんとか勇気を出して3回病院へ行った。病院へ行って治ることはなかったが、行動したことは大きかった。

 

1回目:医師から「何kgになったら満足なん?」と言われ、ショックを受ける

2回目:精神科で抗鬱剤を処方してもらうが、薬剤師の母から、できるだけ薬は飲まない方がいいと言われ、薬は飲まなかった。また、病院には本当にすごい精神病の人がいる中で、自分はなんか違うと感じていた。

3回目:おじいちゃん先生で、「薬は出さないから、自分のことをゆっくり考えてごらん、必ず治るよ」と言われた。

 

2.母親に自分の状態を打ち明けた

人に言ったら良くなるかもと思い、大学3年生の時に自分の状態を母に言った。言った当初、母はショックを受け、自分が厳しすぎたこと、男女区別をしない育て方、話をもっと聞いてあげれば良かったことを後悔していたが、そこからフランクな親子関係が築けるようになった。言ったことで劇的に症状が良くなったわけではなかったが、後に振り返ってみるとプラスに働いた。

 

3.大学生の最後で、今の夫と付き合い始める

夫は男性としてはとても細く、よく人からも細いねと言われていた。

夫は、男の人が「細いね」って言われることは、女の人が「太いね」と言われるのと同じくらい傷つくと話しており、体型について言われることがどれだけ傷つくことなのかを理解していた。そのため、人の容姿や体型のことについて、とやかく言わない感覚が一緒であった。

また、男の人は細い子、可愛い子を好むのが普通と思っていたが、必ずしもそうではないことに気付かされた。社会一般の価値観で人を評価しないという考え方に触れ、気持ちが強くなることができた。

 

克服中に試したこと

効果的なものも、効果的じゃなかったものも

・ジム(自分には向いていないことが分かった)

・痩せる薬(良くなかった)

・本

インターネットもない時代だったので、心理学、哲学、ダイエット系の本を読み漁る

 

克服後

現在の生活

安定している。普通の食生活で、細かいカロリーも気にしない。

 

朝:ヨーグルト200gくらいにナッツ、きなこ、ごま、などを入れたもの。(500kcalくらい)

ダイエットというよりも、子供の世話で忙しい朝に手間無く栄養が取れるように。

昼:好きなもの。人と食べることも。

夜:昼よりは食べない。

家では少なめ、外食の時はゆっくり好きなものを食べる。

間食:する時もしない時も。

 

どうしても食べたいものがある時は、たとえジャンクフードであっても自分の体の感覚を信じ、食べる。

運動

週2、3回キックボクシング

(デスクワークで体が凝る、自分に向いている運動)

やりすぎず、心地よいレベルに運動する

生活

規則正しい。

家事、育児、仕事を両立しており、忙しく過ごす。

非常に安定している。体重の多少の変化は当たり前のことであり、食べ過ぎたと思ったら翌日に調節したり、体が心地よいと感じる程度に意識している。

メンタル

完全に無敵。人と比べない。世間の価値観に振り回されない。人からの評価を気にしない。変に何かに執着しない。人の弱さ、外から見えない苦しみが分かる。ちょっとやそっとのことで傷付かない。

 

ダイエット

自然と調節をするのが上手くなったので、特に意識していない。

自分の感覚が分かるようになってきたので、あまり無理をかけないようにしている。

小さな子供がいるため、時間的にも金銭的にも美容に手間をかけられないが、自分の心地よい程度にケアはしている。

世間的には、特に日本人はみんな細すぎて、ダイエットで苦しんでいる人が多いと思う。

ダイエットはきちんとした知識がないと怖いので、食べ物や体についての教育が必要だと感じている。

 

人生の捉え方

苦しいとき、思い悩んでいるとき、鬱状態なとき、全て自分の何かに対する執着が生み出している。世間、周りの標準の価値観に自分が合わせなくてもいい。常識やこうじゃなきゃいけないとかなんて本当はなく、もっとおおらかに考えていい。そうじゃなきゃいけないという考え方は自分を苦しめるだけ。

自分をよく知って、大事にすることが大切。自分が悪いと責めることは、実はあまり良い効果を生み出さない。一人一人、それぞれ使命、役割があるため、違うこと、無駄なことなんて何もない。

子供には、色々な可能性や選択肢があることを見せて、こうじゃなきゃいけないことなんてないことを伝えていきたい。

 

現在のお仕事について

自身で起した会社である、株式会社レーマンの代表であり、メディカルイラストレーターとして、医師の論文や教科書、学会のパンフレットにイラストを描いている。メディカルイラストレーション普及、認知拡大のための活動にも尽力する。

☆HPはこちら http://www.laiman.co.jp/

 

また、絵を生かしたイベントも行っている。直近では、子供向けに「今日のごはんがウンチになるまで」というイベントを行い、大盛況だった。

10月16日には晴海ターミナルホールにて小学生向けにメディカルイラストレーション講座を行う。

 

現在の仕事に摂食障害の経験は生きているか

絶対に生きている。

メンタル的なところで言うと、現在の仕事は日本にはまだ浸透していない仕事なので、ある意味ギャンブルな部分があり、ハートが強くないと出来ない。収入に波もあるし会社の経営も大変。しかし、摂食障害の経験からあれ以上にきついことはもう何もないと分かっているので、どんなことが起こっても、めげずに立ち向かい、明るく元気でいることが出来ている。

また、体のことを勉強したので、知識として生かすことが出来ている。

 

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↑動物が好き

↓トレーニング中 

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まとめ

「治った」の定義 

「治る」=「食とうまく付き合うことができる」

「完治」=「ほぼ吐かない、精神的に自分のことを理解して、上手くコントロールできる」

だと思っている。

 

自分のことを冷静に客観視できるようになり、自分がストレスを感じているかどうか、が分かる。それに対し、食べたいと感じているものを食べる、できるだけストレスを感じないようにするなど、コントロールできるようになる。

 

また、「食べる」=「恐怖、ダメ、卑しい、悪」から「嬉しい、楽しい」へと変わる。

 

振り返ってみて

結論は、経験しておいてよかった。

ここまでの苦しみがあったとなかったとでは、自分の人生における成長が違うと思っている。

摂食障害に自分の今までの人生の大半を費やしたが、後悔していない。

むしろ、この経験は人生の色々な面で生かせるなとポジティブに捉えている。

事実、子供への食育や夫が病気になった時の対応など、自分の経験が役に立っている。

 

メッセージ

摂食障害で苦しんでいる人へ

 

私は今35歳です。そのうち摂食障害発症から克服するまでにかかった年月はおよそ15年間。初めて『努力』ではどうしようもない、自分の力で這い上がれない大きな苦しみにぶち当たりました。みんなが普通にしている『食べる』ということが全くコントロールできない。それは自分の意志の弱さからきているものと思っていました。ほんのちょっとした、軽い気持ちで始めたダイエットから恐ろしい深い深い渦に巻き込まれていきました。

近年世間では痩せていることが過剰評価される傾向にあり、私もそうありたいと思っていましたが、摂食障害を克服した今はそう思いません。日本では特に痩せた女性が多く、それが自分の身体だけでなく妊娠や出産にも悪い影響を与え、生まれてくる赤ちゃんにもその影響を及ぼしていることがわかっています。

私は数年前に元気な娘を出産しましたが、妊娠中の検診ではあまりにも医師や看護師が体重増加について毎回毎回口うるさく注意してきたことをよく覚えています。周りの友人の話を聞いてもそうでした。

当時はすでに健康な食生活を取り戻していた私は、自然に増えていく体重にまったく不安も感じませんでしたし、自然に健康的な食事を心がけ、自分の体を動物的に信じていました。

数年後、妊娠中の拒食・過食嘔吐、低体重児で生まれてきた子供は将来の糖尿病リスクが高まるなど、妊婦の体重制限による問題がどんどん出てきて、体重について病院も口うるさく言わなくなりました。

こうやってみてみると世の中の情報は数年でころころ変わったり、何年も経ってから「あれは間違いでした」といったことがたくさんあります。

結局一番大切なことは世間の価値基準に自分を当てはめるのではなく、『自分を信じる』『正しい知識を身につける』ということです。動物の体は本当にうまくできています。自分の体を信じて、自分の体や心が訴えていることに耳を傾けてください。

摂食障害は意志の弱さが原因ではありません。摂食障害以外の何か苦しいことの代償行為かもしれません。ゆっくりゆっくり、時間はかかるけれど、必ず治ります。

自分と向き合って自分の声を聞いてください。

そして摂食障害というあまりにも苦しい壁を乗り越えれば、誰よりも強くなり、誰よりも人の痛みがわかる人間になれます。

私にとって15年という年月は何一つ無駄にはなっていません。これから多くのことを乗り越えていく力となり、本当に良い経験だったと言えます。

とにかく必ず治ります。まずは今の状態の自分を許して、責めずに、大切にしてください。

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tokco