摂食障害リアル克服体験談

今現在摂食障害で苦しんでいる方に向けて、克服者がどのように治っていったのか、そして今どのように生きているのか、たくさんの事例を紹介します。

【克服者インタビュー】ジェニー・シェーファーさんにインタビュー

 

こんにちは。すずです。

今日は、自身の摂食障害を克服した経験から、アメリカにて摂食障害の啓発活動を行うジェニーシェーファーさんにインタビューさせて頂きました。

ジェニーさんは日本でも、著書『私はこうして摂食障害から回復した~エドと別れる日~』( https://www.jennischaefer.com/books/life-without-ed-jp/)、同タイトルの歌(https://www.jennischaefer.com/life-without-ed-jp/)をリリースしています。

本を読んだことがきっかけで、インタビューのお願いを送ったところ、なんと快くOKして下さいました。ありがたいです!

 

自身の摂食障害を克服し、現在も啓発活動に取り組まれているジェニーさんのお話は、ヒントになる部分がたくさんあると思います。

私の翻訳なので読みにくいところもあるかと思いますが、是非読んでみて下さいね!

 

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Jenni Schafer (ジェニー・シェーファー)

 プロフィール

テキサス在住。シンガーソングライター。

摂食障害回復センター家族部門全国回復アドボケイト(the National Recovery Advocate of Eating Recovery Center’s Family Institute)。

全国摂食障害協会代表委員会会長(Chair of the Ambassadors Council of the National Eating Disorders Association)。

執筆、講演活動を行う。

著書に、『Life Without Ed』(日本語版タイトル『私はこうして摂食障害から回復した』)、『Goodbye Ed, Hello Me』、ハーバードメディカルスクールとの共著『Almost Anorexic』がある。また、Today, Dr. Oz, and Dr. Philなどのテレビ番組やCosmopolitan, The New York Timesなどのメディアでも摂食障害治療の専門家として取り上げられている。

自身のサイトhttps://www.jennischaefer.com/にて摂食障害に関する情報を発信中。

 

:こんにちは。今日はありがとうございます。どうぞ宜しくお願いします!

 

ジェ:こんにちは。こちらこそ宜しくお願いします!

 

4歳の時に聞こえてきた、「太っている」という声

:早速ですが、ジェニーさんが摂食障害を発症したのはいつですか?

 

ジェ:最初は、4歳の時だったと思います。当時、ダンス教室に通っていたのですが、ダンスの衣装を身にまとった自分に対して、頭の中で「太い、劣っている」という声が聞こえてきたのを覚えています。この自分へのネガティブなボディイメージから、高校、大学と上がるにつれて、食事制限を始め、摂食障害になりました。22歳で本格的に治療を始めるまで、拒食、過食、浄化行為(嘔吐など)を経験しました。

 

:そうなのですね。4歳からとは。驚きです。何が原因だったとおもいますか?

 

ジェ摂食障害の原因は、まるで複雑なジグソーパズルのように、色々な要素が絡まっていると思います。摂食障害は、生物心理社会的な病気です。研究者の中には、「遺伝的要因がベースになり、環境要因がそのトリガーとなる」、と主張する人もいます。私の場合は、正にこの説明が当てはまっていました。私は、元々完璧主義など、摂食障害になりやすい特徴を持っていて、それが摂食障害へと繋がっていきました。また、痩せを賞賛する文化もそれを後押ししたと思います。

 

誰にも話せないことが摂食障害を悪化させる

:その後、どのように摂食障害の症状は大きくなっていきましたか。

 

ジェ摂食障害は、秘密と孤独の中でどんどん大きくなっていきます。私も最初は、摂食障害で苦しんでいることを、周りの人に隠していました。こんな風に食べ物のことで悩んでいるのがとても恥ずかしかったのです。

しかし、最終的には一人で抱えることをやめ、摂食障害で苦しんでいること、助けを必要としていることを周りの人に打ち明けました。摂食障害は、本当に命の危険がある病気です。恥じる必要は全くありません。癌になる人が自ら選んで癌になるわけではないのと同じように、摂食障害になる人も自ら選んで摂食障害になるわけではありません。また、癌になる人が回復することを選ぶように、摂食障害になる人も回復を選ぶのです。

 

自分と摂食障害を切り離す

:回復の転機は何でしたか。また、どのように治療に対するモチベーションを保っていましたか。

 

ジェ:22歳の時に、医師、栄養士、セラピストなど専門家たちの元で、本格的な治療を始めたことです。回復初期では、私の摂食障害克服へのモチベーションは、痛みから離れたいというものでした。(摂食障害はまるで拷問のようなものでしたから。)回復後期では、摂食障害の痛みから離れるということよりも、もっと人生を前に進めるということに集中するようになりました。私たちは、自分の人生を取り戻すために、摂食障害を克服します。私が今携わっている摂食障害治療施設でも、患者さんには、治療を進めていくにあたり、自分の人生の真の価値観、大切にしたいものについて考えてもらうようにしています。それらは、回復の過程において、とても意味のあるモチベーションとして、回復に導いてくれます。

 

:ジェニーさんは治療の中で、自分の中の摂食障害の部分を「Ed」、完璧主義の部分を「Ms. Perfectionist」などと名前を付け、まるで人間のように呼んでいます。そのようにすることで、どのような効果がありましたか?

 

ジェ:セラピーの中で、摂食障害を自分の病気や状態のように捉えるのではなく、自分と関係としている別のものとして捉える、つまり、摂食障害を外部化することを学びました。私は、自分の摂食障害をEating disorder(英語で摂食障害の意)の頭文字を取って「Ed」と名づけました。Edはまるで虐待的な恋人や夫のようなものです。憎んでいるのに長いことなかなか離れられない。この、摂食障害をEdと擬人化する方法は、自分自身と摂食障害を切り離すことにとても役立ちました。それまでずっとEdの声に従っていましたが、治療を重ねていくにつれて、最終的には、Edが語りかけてくる声に対して言い返し、自分の考えや意見を持つことができました。

 

<具体的には以下のようなやりとりです。(『Life Without Ed』から)>

治療初期

Ed:君は夕食を食べてはいけないよ。

ジェ:分かっているわ。私は夕食を食べない。

治療中期

Ed:君は夕食を食べてはいけないよ。

ジェ:あなたは間違っているわ。私は夕食を食べるべき、でも、できない。

治療後期

Ed:君は夕食を食べてはいけないよ。

ジェ:あなたは間違っているわ。私は夕食を食べるべきだし、食べるわ

 

治療初期

Ms. Perfectionist:あなたは今夜のパーティに行けないわよ。

Jenni:なぜ、だめなの。私の友達はみんな来るし、本当に行きたいわ。

Ms. Perfectionist:あなたは行けないわ。だって、あなた、今日過食したでしょ。あなたは今日完璧じゃないし、行くに値しないわ。それに、すごく太って見えるわよ。

Jenni:そうね、あなたが正しいわ。私は行くに値しないし、太っているわ。

治療後期

Ms. Perfectionist:あなたは今夜のパーティに行けないわよ。

Jenni:私はパーティーに行くわ。私の友達はみんな来るし、本当に行きたいわ。

Ms. Perfectionist:あなたは行けないわ。だって、あなた、今日過食したでしょ。あなたは今日完璧じゃないし、行くに値しないわ。それに、すごく太って見えるわよ。

Jenni:ええ、私は今日過食したわ。だからといって、今夜の楽しみを自分自身から奪う必要があるということにはならないはずよ。それに、私は太っていないわ。

 

このようにEdの声に支配されるのではなく、本当の自分自身と繋がることによって、回復できるという希望を持つことが出来ました。また、この方法によって私の友達や家族も、摂食障害と私自身とを切り離して見るようになりました。そして、この方法は多くの人に有効だと聞いています。私たちはみんな、自分の中のEdと戦うことができるのです。

 

摂食障害の原因として完璧主義が挙げられることが多いですが、治療を進める上で完璧主義とはどのように付き合いましたか。

 

ジェ:私は生まれながらに摂食障害だったわけではありません、しかし、もともと完璧主義的な性格でした。常に完璧でいようと努力することは、自分を弱く、傷つきやすくし、摂食障害に繋がりました。また、不安を抱えやすい、強迫性がある、など他の性格上の特徴も同じように摂食障害になった要因でした。

しかし良い方向に向いた時、これらの特徴は、私の回復においてとても重要な役割を果たしました。例えば、完璧主義は、きちんと予約した日には病院へ行く、セラピーで出された課題を終わらせるなど、に役立ちました。良くないと思っている性格上の特徴も、光の射す方へ向き始めると、逆にものすごく回復を支えてくれます。

また、これは少し奇妙に聞こえるかもしれませんが、私が回復する上で重要だったことの1つに、どのように楽しむのか、もっと言うと、時間を無駄にすることを学ぶということがあります。実際に、私は、「フレンズ」というテレビドラマを見ることを課題として課されていました。詳しくは、私の2番目の本である『Goodbye Ed, Hello Me』の「Having Fun to Save my Life」という章の中で書いています。

 

:回復の過程で、なかなか思うように良くならず、絶望を感じる時もあったと思います。それでも、諦めずに回復に向かえたのはなぜですか。

 

ジェ:ありがたいことに、私にはメンター、治療チーム、家族をはじめとする周囲の人々のサポートチームがいました。落ち込むこともたくさんありましたが、そのような時はいつも、周りの人々が、私が再び治療に向き合えるよう引き戻してくれました。

 

:いつ自分は摂食障害から完全に回復したと思いましたか?

 

ジェ:完全に回復したと思えたのは30代前半です。

 

人生は続いていく

:回復後の自分はどんな感じでしょうか。

 

ジェ:これは私がよく言っていることなのですが、私は摂食障害からは回復したけれど、人生から回復したというわけではありません。今は本物の人生を送っていると思います。人生はとても楽しく、喜びに溢れています。しかし、時として人生は厳しくもあります。しかし、私は摂食障害からの回復を通して、レジリエンス(立ち直る力、折れない心)を身につけました。また、感謝する心や家族や友達の大切さ、楽しむことの大切さも、摂食障害を通して学んだと思います。

 

:現在はどのように食べていますか。

 

ジェバランス良く食べています。本能に従って食べることを学んだので、食事のルールは特にありません。食べ物はあくまで食べ物でしかありません。そこに良いも悪いも特にありません。

 

:運動はされていますか。

 

ジェ:食べることと同じように、本能に従って運動することを学びました。歩きに行きたいのか、自転車に乗りたいのか、ただソファーに横になって休みたいのか、体の声を聞くようにしています。

 

:自分自身や自分の体型に関して、今はどのように捉えていますか?

 

ジェ:回復のおかげで、自分の体、そして自分自身を愛することができるようになりました。今の私のゴールは、完全な不完全でいることです。

 

:現在は摂食障害の啓発活動をされていますが、どのような想いで活動されているのでしょうか?

 

ジェ:私は自分の経験、強さ、希望を他の人々と共有したいと思っています。摂食障害は、とても苦しい病気です。他の人には、私のように長い間この病気に苦しんでほしくないと思っています。

 

:ジェニーさんは、日本語版の本( https://www.jennischaefer.com/books/life-without-ed-jp/)と歌(https://www.jennischaefer.com/life-without-ed-jp)を出されています。そこには、どのような想いをこめられているのでしょうか?

 

ジェ:私が伝えたいことは、希望です。摂食障害から完全に回復することはできます。完治は可能です!!

 

:最後に、現在苦しんでいる人に対して一言お願いします。

 

ジェ:Never give up! 諦めないで下さい。私は、日本語の「七転び八起き」という諺が好きです。摂食障害は治ります。

 

すずのコメント

ジェニーさんにインタビューさせて頂きました。

個人的には、擬人化するという方法はとても面白いなと思いました。確かに、摂食障害のときは、自分自身が全て摂食障害で染められてしまっているというか、他の自分の良い部分、できている部分に目がいかなくなってしまいがちだと思います。私も、もう摂食障害だから、自分には何もない、何もできていない、生きている価値もない、と思っていたことがあります。でもそんな時に母親から「飼っている犬の散歩に毎日行っているし、しっかり世話しているじゃない。うちのわんちゃんは、すずちゃんがいてよかったと思っているはずだよ。」と言われて、はっとしたことがあります。そうか、摂食障害というのが自分の全てじゃない、他にも動物が好きとか、他の面も持っているじゃないか、と気付くことができた瞬間でした。

この摂食障害をEdとして擬人化するという方法も似ているのかなと思いました。自分の全てを摂食障害と捉えず、別ものとして捉えることで、摂食障害だけじゃない自分を見つめていく訓練になるのかなと思います。

当時の私はこの方法は知りませんでしたが、けっこう役に立ちそうな方法だと思います。とりあえず、一回是非試してみてくださいね^^

また、もっと詳しいことはジェニーさんの本に書かれています。そちらも是非チェックしてみてください^^そして、歌も是非~!

本(https://www.jennischaefer.com/books/life-without-ed-jp/

歌(https://www.jennischaefer.com/life-without-ed-jp/

 

また、こちらのYoutubeで、ジェニーさんが実際にお話している姿を見ることができます。興味のある方は見てみてくださいね(Youtubeは英語です)。

https://www.youtube.com/user/JenniSchaefer

 

私が訳したので一部日本語が読みにくいところがあったかと思います><

ここまで読んでくださってありがとうございました!

一つ前の記事で英語の原文も載せているので、気になる方はそちらもどうぞ~。

 

最後に、突然のお願いに関わらず快くインタビューを承諾してくださったジェニーさんに感謝です!ありがとうございました。