摂食障害リアル克服体験談

今現在摂食障害で苦しんでいる方に向けて、克服者がどのように治っていったのか、そして今どのように生きているのか、たくさんの事例を紹介します。

1.摂食障害が治り、やっと人生のコマを進め始められた気がします(田邊すず)

 

田邊すず(21)

大学生

 

プロフィール

高校卒業後、上京。現在は都内の大学4年生。卒業後は就職予定。バスケットボール、読書、海外旅行が好き。

 

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克服前

症状

拒食、非嘔吐過食、過食嘔吐、鬱

 

ダイジェスト

期間

状態

高1春~高2春(1年)

拒食

高2春~大1夏(2年半)

非嘔吐過食、鬱ピーク

大1夏~大2夏(1年)

過食嘔吐

大2夏~大3夏(留学)(1年)

ほぼ完治(何でも食べられる、たまに食べ過ぎることはあっても、吐かない)

大3夏の終わり

完治

 

人生曲線

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原因・きっかけ 

一つとは言えないが、軽い気持ちで始めたダイエットと自分の性格が大きかったと思う。

 

家庭環境

特に問題はなかったと思っている。十分に愛されて育ったと自覚している。長女でいつも頼りにされてきた。

 

学校環境

県内一の進学校、文武両道がモットー

その中でも常に上位の成績を維持、体育系の運動部に入っていた。

 

性格

責任感が強い。誠実。まあ真面目。自分に厳しい。完璧主義。0か100かのところがある。頑張り屋。人見知り。

 

ダイエット

中3の部活引退後、ダイエットを開始。

当初は受験が終わるまでと思っていたが、高校入学後もやめられず、内容もどんどん過激になっていく

 

その他

女性性の否定

バスケをやっていたこと、弟がいることもあり、男っぽい容姿、性格。

周りからも言われるし、自分もそうしたかったし、そうあるべきだと思っていた。

 

容姿へのコンプレックス

自分の容姿に対してかなりコンプレックスを抱いていた。周りのかわいい子達がとても羨ましかった。

 

女性としての自信のなさ

女性としての自分に自信がなかった。自分は女性としての価値がないと思っていた。異性から自分が選んでもらえると思っていなかったし、一人で生きていこうと思っていた。

 

克服中

完治までのプロセス

拒食(約1年)→非嘔吐過食(約3年)→過食嘔吐(約1年)→ほぼ完治(約1年)→完治

この間の中にも行ったり戻ったり、たくさんの波があった。

 

各ステージでの、「食」、「運動」、「生活」、「体」、「メンタル」の大体の状態

高1春~高2春(1年)

拒食(160cm 42kg)

雀の涙ほどの量を一日三食、夜は抜くか、ほぼ食べない。ほぼ野菜のみ。

運動

毎日朝練で自主的に3キロ走り、放課後は毎日部活。部活がないときは、一日中歩き回るなど、過活動。

生活

朝早くて、夜遅い。あまり眠れないけど、元気。遊びよりも勉強と運動に夢中。

胃が食べ物を受け付けない。少し食べただけですぐに胃痛。常に胃薬を持ち歩く。友達からは、痩せすぎ、鶏がらみたいと言われる。髪の毛が抜けやすくなる。座っていると骨が痛い。毛深くなる

メンタル

どんどん体重が減ることとテストで1位を取ることによって、全能感が出る。ハイ状態。人の忠告に耳を貸さない。「食べる」=「汚い、卑しい」と思っていた。食への恐怖。他人を見下していた感じがあった。

 

高2春~大1夏(2年半)

非嘔吐過食、鬱ピーク(160cm 63kg)

一日三食。通常は、拒食時よりは食べるものの、ほぼ食べない。

自分の中での禁止食品(クリームチーズ、チョコレート、白米など)が多い。外食、コンビニ食が怖い。

夜中や一人になった時、自分の予定通りに行動できなかった時(勉強しようと思っていたのに寝てしまったなど)、その他スイッチが入った時に過食、過食時は禁止食品ばかり食べる。過食後は下剤を使用したり、翌日に絶食したりしていた。

運動

朝練で走ることが出来なくなる、部活は毎日。

部活をやめた後は、犬の散歩のみ。

生活

だんだん朝に起きることが出来なくなる。部活をやめた後は、廃人のように過ごす。寝ているか読書しているか歩き回るか。

急激に太り、肉割れができる。常に気持ち悪い。体が重い。だるい。

メンタル

鬱状態。無能感。無価値感。自分なんて死ねばいいと思っていた。自殺願望。劣等感。鬱。世界が全て灰色に見える。絶望感。

 

大1夏~大2夏(1年)

過食嘔吐(161cm 58kg前後)

通常時は、健康的なものをごく少量食べる。

禁止食品が更に厳しくなり、外食やコンビニは怖い。

自分が自分で許せなくなる時、自分の決めた食事のルールが守れない時などに過食。過食時は禁止食品ばかり食べる。過食後は嘔吐、翌日は絶食。非嘔吐の時より格段に食べる量が増える。

運動

朝40分のランニング、週1のバスケサークル

徐々にさぼりがちに

生活

生活リズムを整えようとするが、上手くいかない。学校と家の往復。

バイト、教職で忙しく過ごす。そこそこ毎日充実していたが、夜帰ってくるとだいたい過食。夜中眠れないことも多々。

吐きだこができる。常に胃の中のものが逆流しそうになる。浮腫みがひどい。常にだるい。倦怠感。

メンタル

度々訪れる抑うつ状態。低い自尊心。劣等感。無能感。無価値感。人生に対する無意味感。

 

大2夏~大3夏(1年)

ほぼ完治(161cm 56kg前後)

一日三食。基本的に何でも食べられる。パンもバターもお菓子も恐怖心なく、一人分を食べられるようになる。たまに食べ過ぎることもあったが、普通の人の食べ過ぎの量だし、そこまで落ち込まない。帳消し行為はなし。

運動

ほぼ毎日1時間のランニング。

生活

夜11時就寝、朝6時起床みたいな、規則正しい生活。学校も週3程度で、今までの人生にないくらいにゆっくりと過ごす。

吐かなくなったので体力的に楽になる。

メンタル

少しずつ自分は自分でいいのかもと思う。痩せたい気持ちはありつつも、痩せる・太るよりも大事なことがあると気付く。もっと人生は豊かなものだと思う。自分の人生は自分で決めていい、もっと自由でいいと思う。

 

克服に一番有効だったこと

1.一日三食バランスの良い定食スタイルの食事をする

ご飯、味噌汁、野菜2、3品、たんぱく質2品の食事を3食食べる。

 

2.帳消し行為をしない

過食した後に、体重増えるのが怖くても、絶対に嘔吐、下剤、絶食、過剰運動をしないと決める。過食を止めることよりも帳消し行為を止めることが先。

 

3.禁止食材を減らしていく

食べ物差別のルールを緩めていく。過食の時以外で、禁止食材をちょっとだけ食べてみる、外食で食べてみる、など少しずつ、食べちゃだめなものなんてないということを分かっていく。

 

4.無理に運動しない、とにかく休む

脅迫感情からしていた運動を思い切ってやめ、本当に自分が純粋に楽しいと思えるものだけにする。

 

5.今の自分のまま、綺麗にすること、おしゃれすることを許可する

今の自分に似合う洋服を買いにいったり、美容院に行ったりすることを自分に許可する。太って醜いから買い物に行けない、余計落ち込むとか、今のままで洋服買いに行っちゃたら、その体が定着しちゃいそうとか考えていたけど、逆だった。今の自分でも似合うおしゃれはたくさんあった。「治るまで~しない」と自分に禁止するのは自分を余計に追いつめるだけで、逆効果。

 

克服の転機となった出来事、重要だったこと

1.バスケ部の仲間

どんどん症状が悪化していく高2の冬、大好きだったバスケ部をやめた。バスケもチームメイトも本当に大好きで、とても辛かった。私がやめるという話をしたとき、みんな本当に真剣に聞いてくれ、泣いてくれた。私がやめた後も変わらず接してくれて、必ず遊びに誘ってくれた。こんなどうしようもない私のことも本当に仲間と思ってくれる人がいると思うことが出来た。彼女らがいなかったら、私は今ここにいないと思う。

 

2.愛犬の存在と母の言葉

毎日何も役に立たず、生きている意味がないと思っていた自分に、「毎日、チョコちゃん(愛犬の名前)の散歩に行っているじゃない!すずちゃんがいなかったらチョコちゃん悲しむよ」という言われ、はっとした。この一点だけで生きていてもいいんだと思えた。また、自分は摂食障害という一点で構成されている訳ではなくて、犬の散歩ができるなど、病気でも他の面もあると感じる。

 

3.大学入学

幼い頃から医者になるものだと思っていたし、周りからもそう思われていた。しかし、どんどん状態が悪化していく中で、私には受験に耐える力は残っていなかった。高3の夏に急遽文転し、なんとか入ることができた大学。自分の予定していなかった進路に絶望し、人生終わったという思いを抱えながら上京した。しかし、大学で色々な人が混在している様子を見て、あるべき姿はこれっていうものはなんてないのかもしれないと思う。

 

4.大学で彼氏ができる

摂食障害があることは話していなかったが、とにかく褒めてくれた。外見への過度なコンプレックスが和らぐ。自己肯定感が出てきた。女性としての無価値感が和らぐ。愛し、愛される喜びを知る。

 

5.約1年間の留学

外の世界への興味

たくさんの新しい人・ものとの出会いで、今まで自分の内側に目を向けがちだったのが、外の世界に目が向くようになる。

留学中に何カ国も旅し、世界の様々な素晴らしい自然や文化に触れたことで、食べることや痩せることなど、自分の内側に囚われて、人生終わってしまうのは嫌だなと思った。これらの素晴らしいものを見ずには死ねないなと思った。

 

様々な人、生き方、価値観との出会い

太っていても全然気にせず、露出度の高いドレスを着る友人。

私のコンプレックスである細い目を美しい、羨ましいといつも褒めてくれる友人。

昨日クッキー1箱ヤケ食いしちゃったわ~とあっけらかんと話す寮の友人。

人生ゆっくり、リラックス、楽しむことを信条に生きている人々。

自分の気の赴くままに、自由に生きる人々。(大人になってから大学行ったり、途中で専攻を変えるために大学に入りなおしたり、留学に2回行ったり、色々な国で働いてみたり、といった人がたくさんいた)

 

6.就職活動に備えて、動いたこと

今まで摂食障害に囚われ、人に話せるような経験もスキルもなく、また、元来コミュ二ケーションに苦手意識を持っていたため、自分を雇ってくれる会社なんてあるのだろうかと思っていた。

しかし、大学3年生の夏くらいから就職活動に向けて、ネットの情報収集や会社説明会に参加した。様々な会社のことを知っていくことは、社会がどのように構成されているかを知っていくようで楽しかった。また、たくさんの社会人や他大学の学生と話し、たくさんの人の生き方や価値観に触れていくことがとても楽しかった。

夏の終わりごろに完治を実感するちょうど手前だったので、治ったきっかけというよりも、自分が完治したという最終確認ができたと思うが、外の世界を見るという意味では、克服にも重要な要素だと思う。

 

克服中に試したこと(試そうと思った理由)

すぐ効果があったものもあったし、じんわりと効果があったもの、だめだったものもあった。また、ある時期には良かったが、ある時期には逆効果だったものもあった。

どれが、いいかは一概には言えないが、何でも試して自分で探っていくことが大切なのだと思う。

 

<アクション系>

・病院にかかる、薬を飲む(医学的に治療する)

・フルマラソンを走る(人生観が変わりそう)

・一人旅(自分を見つめる、旅行先で食事が選べない状況にしてみる)

・体重計を捨てる(数字に囚われない)

・自分ノートを作ってそこに何でも書き込む(ストレスを吐き出す)

・絵を描く(芸術に触れて癒される)

・遊びや食事に誘われたら断らない(外食に慣れる)

・克服体験記(ネット)、克服本を読み漁る(他の人の克服の仕方を参考にする)

・拒食で痩せていた時に着ていた服を全て捨てる(痩せへの執着を捨てる)

・今の自分に似合う服を買いに行く(今の自分を認め、大切にする)

・メイクを頑張ってみる(コンプレックスをカバーする)

・部屋の断捨離をする(人生観変わりそう)

・決して痩せていなくても素敵な人々を観察、何が素敵かを分析、真似してみる(素敵な人を真似したら自分もなれそう)

・症状が出た日を記録(自分の傾向、パターンを探る)

・どんなに食べても帳消し行為をしない(体の飢餓感が収まらなくなってしまう、歯が溶ける)

・飲食店でのアルバイト(あえて太りそうと避けていた飲食店で食への抵抗をなくす)

 

<生活習慣、運動系>

・ヨガ(体にも心にもよさそう)

・完全朝型の生活スタイル(10時就寝、5時起き)にする(体によさそう)

・毎朝走る(走ることが楽しくなりそう)

・夜の時間帯(過食になりやすい)にアルバイトをする(過食が防げそう)

・毎日予定を詰め詰めにする(食べている暇をなくす)

・毎日予定をガラガラにする(ストレスを減らし、ゆっくり過ごす)

 

<食べ方系>

・お昼ごはんを外食にする(外食に慣れる)

・三食満たされるまできっちり食べる(まずは三食、しっかり栄養を入れることを定着させる)

・毎日、本物の質の良いおやつ(ケーキ屋さんのケーキ、ハーゲンダッツのアイスクリーム)を食べる(質の悪いものばっかり食べるからいけない)

・玄米菜食(目覚めそう)

・一日一つ禁止食材を食べてみる(禁止食材を少なくする)

・週1で好きなものを食べる(食べる日を決めて、自分を許す)

・自炊を放棄(完璧にやることを手放す)

・友達が何を食べているか観察し、同じものを食べてみる(普通の人の感覚を取り戻す)

 

克服後

現在の生活

(161cm 52kg前後)

三食。基本自炊だが、作るのが面倒な時は外食やコンビニも利用、無理はしない。友達とのご飯や飲みも恐怖ではなく、楽しめる。カロリーは計算せず、栄養バランスと自分の満腹や空腹の感覚を大事にする。

運動

無理にはしない。日常生活の中で、歩ける時は歩くこと、なるべく階段使うことを意識。たまに、やりたいなと思う時に、ウォーキングやランニング。

生活

自分にもちゃんと価値があると思えるようになる。自分のことを自分で認めることができる。もちろん人間だから、気分がいい日も悪い日もある。しかし、病気を抱えていたときの鬱のように塞ぎこむことはない。

とても健康。病気の時は常に疲れやすかったが、きちんと食べているからか、エネルギーが満ちている感じ。

メンタル

予定が詰め詰めにも、ガラガラにもしないくらいに過ごすが、時期によってはとても忙しくなったり、暇になったりする。仕事や勉強、やらなければならないことは全部を完璧にやろうとしない。手を抜くところは手を抜く。自分の本当にやりたいことを大切にする。

 

ダイエット

普通の人と同じように健康的に体を絞り中。「治る」=「理想体型になる」ではないし、治ったらもうダイエットなんかしちゃいけないというわけじゃない。なりたい自分になるために心地の良い努力は重ねていく。でも、摂食障害だったときのように決して極端なことをしない、無理をせず、ヘルシーな食生活を心がける感じ。また、強迫性や悲壮感はない。

 

進路、人生の捉え方

大学入学後、医者になれなかったというコンプレックスはしばらくずっとあった。しかし、今は逆にこっちの道で本当に良かったなと思っている。人生に脚本なんてないし、自分の興味に従って、やりたいことをやっていけば、おのずと道は開けてくるもの。今は、卒業後、会社で働くことが楽しみ。

また、何かを成し遂げる人生も、ゆっくり楽しんで生きる人生も、どちらが優れていてどちらが劣っているなんてことはない、自由でいいと思うようになった。自分をもっと大切にして、自分がどうしたいかに忠実でいていいのかなと思う。自分が思っているよりも、人生って豊かだし、楽しいもの。

 

現在の活動

無事、就活を納得のいく形で終え、現在は主に、学校、教職、簿記の勉強、読書などでなんだか忙しく過ごしている。また、遊びの予定がとても多い。笑

GWには、NGO主催の、ベトナム社会起業家に対してコンサルをするというプロジェクトに参加し、社会人と学生混合のチームリーダーを務めた。

後は、このブログをなんとか軌道に乗せるべく奮闘中。

夏休みは卒業旅行の資金を貯めるべく、バイトに勤しむ予定。

 

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↑ ベトナムにて経営者に対しプレゼンを行う筆者

↓ ap bank fes に日帰り参戦

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まとめ 

「治った」の定義

人によって違うと思う。ある人にとっては症状がなくなるということかもしれないし、ある人にとっては症状と上手く付き合っていくことなのかもしれない。

それを踏まえたうえで、私の場合は三点かなと思う。

 

第一に、症状がなくなること。

今、拒食、過食、過食嘔吐、下剤や鬱の症状は何もない。

もちろん、一食食べ損ねたり、たまに食べ過ぎたりすることもあるけど、それは普通の人もあることだし、それによって思い悩むことはない。

 

第二に、普通に「食べる」という行為に対して抵抗や罪悪感がなくなること。

摂食障害になってからというもの、「食べる」=「悪、卑しいこと」みたいな図式が常に頭の中にあった。また、「食べる」ということに対し、常に緊張していた。しかし、誰しもにとって食べることは生きることであり、日常の、普通のことである。今では、「食べる」=「普通の、当たり前のこと、でも大事なこと」みたいな感じで捉えている。

 

第三に、「食べる/食べない、痩せる/太る」が四六時中頭にある状態から抜け出し、もっと外の世界のことを考えられるということ。

摂食障害の時は、「食べる/食べない、痩せる/太る」ということが常に頭の中にあり、片時もそのことを考えなかったことはなかった。でも今は、もちろんそれを考えるときもあるが(ついついコンビニでお菓子を買おうか迷う時など)、他のことを考えている時間が圧倒的に長い。そのことだけに目が向いていたのが、もっと「読みたい本、行きたい場所、ニュース、友達との遊ぶ予定、これからどんな人生にしようか、次の休みは何をしようか」とかそんなことを考えられるようになった。

 

「治る」=「理想体型になる、理想的な自分になる」、ということではない。私も理想の体型になったわけではないし、もうちょっと体を絞りたいと思っているし、まだまだ変えたいなと思う内面もある。しかし、そこに対して、以前のような強迫性はないし、自分の存在自体を否定することはない。今は、もっとマイルドな感じで、自分をもっと良くするために、自分が心地の良い努力を続けていこうという感じ。

 

振り返ってみて

発症から完治まで約6年間。間違いなく摂食障害は自分の人生に大きなインパクトを与えたなと思う。この病気を通して、失ったもの(若い時間や過食にかかったお金、高校当初に描いていた進路)もたくさんあったけど、得たもの(人に優しくなれる、食事・健康の大事さ、周囲の人の大切さ、新たな進路)もあったと思う。完全に治った今は、過去や失ったものに囚われるのではなく、今、これからどう生きるかを積み重ねていくことをしていくことが大切だと思う。

治るために必要なことは一人一人違うと思うが、私の場合は、体にきちんと栄養を入れてあげること、とことんゆっくり休むこと、どんな自分でも認めることが必要だったのかなと思う。

 

メッセージ

今戦っている人へ

本当に毎日毎日辛いと思います。自分の意に反して、食べられなかったり、食べたりしてしまう自分。コントロールしようとしているのに、全くコントロールできない自分。自分はなんてだめな人間なのだろう、自分なんて価値がない、もう全て投げ出してしまいたい、死んでしまいたい、私もそうやって自分を責め続けていました。治るなんて希望は持てなかったし、社会で活躍している姿なんて到底想像できなかった。本当に分かる。辛いよね。

でも、これだけは言わせて欲しい。摂食障害は治る病気です。現に治った人は本当にたくさんいます。今どんなに辛くても、あなたも必ず治る。

必要なのは、絶対治るという気持ちを持ち続けること。そして、根気よく治すために小さなアクションを起こし続けること、直接的でも間接的でも人の手を借りること。

治す過程では、また症状が出て、落ち込んで、自分を責めてを繰り返すと思う、自暴自棄になってしまう日もあると思う。でも、決して「治す」ということに対しては自暴自棄にならないでほしい。信じて、行動し続ければ絶対に治る。もちろん何をしたら治るかなんて、一概には言えないし、人それぞれだと思う。だからこそ小さくても色々なことに取り組んでみてほしい。行動することでしか変化を起こすことは出来ない。疲れたら、たくさん休んでだらだらしよう。回復は一直線ではなくて、何度も行ったり戻ったりしながら、波のように段だん治っていくもの。辛いけど、焦らず、一歩ずつが大事。

大丈夫、あなたも治るよ。